
🍷 4月|脂とワインのバランス
──ワインは脂を流す?それとも包み込む?──
🔰 この回のテーマ
「脂」は料理にコクと満足感をもたらす重要な要素。
そして、ワインと脂の関係はとても奥深く、ペアリングの核になるテーマの一つです。
ワインには脂を"洗い流す"ような清涼感を与えるタイプもあれば、脂のコクを"包み込む"ように一体化させるタイプもあります。
今月はバター・ラード・揚げ油など、異なる脂を使った料理を通じて、ワインがどのように作用するかを比較・検証します。
🍽 実験セットの準備
🍴 用意する料理(3種類)
-
ゆでじゃがいも+バター
└ バターのコクが直接的に感じられる素材。 -
豚バラの塩炒め(ラードや脂身)
└ 動物性の重たい脂が主体。 -
白身魚のフリット(植物油で揚げる)
└ 揚げ物特有の香ばしさと油分が中心。
📝 ポイント:どの料理も「味付けは塩中心」にして、脂そのものの印象とワインとの関係に集中できるようにしましょう。
🍷 用意するワイン(3種類)
-
シャルドネ(樽熟)
└ コクがあり、脂の厚みに寄り添うタイプ。酸も持ち合わせる。 -
ピノ・ノワール(軽やか赤)
└ 酸がやや高く、脂を流す爽やかさあり。渋みは控えめ。 -
カベルネ・ソーヴィニヨン(フルボディ赤)
└ 渋みとボディが強く、脂を受け止める力強さがある。
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🧪 テイスティング手順
- 料理を単体で味見し、それぞれの脂の重さや舌触りを確認。
- ワインを単体で試飲し、酸・渋み・果実味・ボディ感を把握。
- 各料理とワインをペアで試す。
→ 口内での油の広がりとワインの反応(洗い流す?共鳴する?)に注目。
📝 ポイント:ワインが「脂をさっぱりさせる」のか、「脂と一体化する」のかを感じ取ることが大切です。
💬 解説と考察
組み合わせ | よくある印象 | 理由 |
---|---|---|
じゃがいも+バター × シャルドネ | なめらかで一体感あり | 樽のコクがバターの油脂と調和。酸味もアクセントに。 |
豚バラ炒め × ピノ・ノワール | 脂がやや重く感じる | ワインが軽いため脂を支えきれず、油だけが目立つ印象。 |
豚バラ炒め × カベルネ・ソーヴィニヨン | 力強くバランスがとれる | 重い脂に対して強いタンニンとボディがちょうどよくマッチ。 |
フリット × シャルドネ | 香ばしさと厚みが響き合う | 揚げ油の香ばしさとワインの樽香がリンクする。 |
フリット × ピノ・ノワール | 後味がすっきり爽やか | 酸が脂を切り、軽やかなペアリングに。 |
✅ 脂のタイプによって、求められるワインの役割は異なる。
「洗い流す or 包み込む」──ワインの酸やコク、タンニンを意識して選ぶと、脂との相性は飛躍的に向上します。
🍳 レシピ例:じゃがいものバター塩和え
材料(2人分)
- じゃがいも:2個(中サイズ)
- バター:10g
- 塩:少々
作り方
- じゃがいもを皮ごと茹で、竹串が通るまで火を通す。
- 皮をむき、熱いうちにバターと塩を加えて軽く潰しながら混ぜる。
- 滑らかすぎず、素材の食感が残る程度に仕上げる。
📝 バターの量はワインとのバランスを見るために調整可。多すぎるとワインが負ける可能性あり。
🔁 応用ワーク(2週間の活用)
ワイン | 応用料理例 |
---|---|
シャルドネ(樽) | グラタン、クリームソース系パスタ、バターソテーした魚料理 |
ピノ・ノワール | 鶏の唐揚げ、焼き魚(脂少なめ)、フライドポテト |
カベルネ・ソーヴィニヨン | 焼肉(塩味)、スペアリブ、ハンバーグ(脂あり) |
🗝 「脂には重たい赤」だけでなく、「脂を流す白」や「軽やかな赤」も状況に応じて使い分けるのが、上級者への一歩です。
✍️ 記録シート(巻末)
- 脂を「流した」と感じたワインは?
- 「包み込んだ」と感じた組み合わせは?
- 重く感じた料理に対して、どのワインが最適だったか?
- 自分の好みは"さっぱり系"か"コク系"か?
🔜 次回予告:5月|甘味とワインの距離感
5月は「甘味とワインの距離感」がテーマです。
料理に含まれる自然な甘さ──玉ねぎ、にんじん、砂糖、みりん──がワインにどう影響するのかを検証します。
「ワインが負ける」「酸味だけが浮く」といった失敗がなぜ起きるのか、甘味と酸味・アルコール感・残糖との関係を体感できる回です。