
🍷 3月|酸味とワインの関係
──料理の酸がワインを壊す?それとも引き立てる?──
🔰 この回のテーマ
トマト、レモン、酢などに代表される「酸味」は、料理に爽やかさや引き締めを加える一方で、ワインとの相性が難しい要素でもあります。
ワイン自体も酸を含む飲み物ですが、「料理の酸」と「ワインの酸」がぶつかると、苦味が立ったり、果実味が消えたりすることも。
今月は、酸味のある料理を用意し、ワインとの相性を「酸の高さ」「果実味」「ボディ」の観点から観察していきます。
🍽 実験セットの準備
🍴 用意する料理(3種類)
-
トマトだけのカプレーゼ(モッツァレラなし)
└ 酸味を主役に据えたシンプルな一皿。 -
レモンを効かせた鶏むね肉のマリネ
└ 鶏肉をさっと茹で、レモン果汁+塩で和える。 -
酢の物(わかめときゅうり+酢+塩少々)
└ 和風の酸味代表格。
📝 補足:チーズや砂糖など、酸味を丸める要素は入れず、「酸味単体の強さ」を感じられるように構成します。
🍷 用意するワイン(3種類)
-
リースリング(辛口・やや高めの酸)
└ 爽快でフルーティ。酸を活かしながらバランスを取る品種。 -
シャルドネ(中庸〜低めの酸・樽熟あり)
└ 樽の風味で酸を和らげるタイプ。果実味に厚みあり。 -
メルロー(赤・酸低め・果実味まろやか)
└ 酸味には弱く、温かみある味わい。
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🧪 テイスティング手順
- 各料理を単体で味見し、酸味の強さや輪郭を確認。
- ワインを単体で試飲し、酸の高さ・果実味・ボディ感を把握。
- 各料理とワインをペアにして試す。
→ 「酸味がぶつかる or 同調するか」「果実味の変化」「後味の印象」などを観察。
📝 ポイント:ワインの酸と料理の酸が「調和」する場合と、「打ち消しあう」場合の違いを感じ取るのが目的です。
💬 解説と考察
組み合わせ | よくある印象 | 理由 |
---|---|---|
トマト × メルロー | 果実味が消え、渋く感じる | 料理の酸味がワインの柔らかさを打ち消してしまう |
トマト × リースリング | さわやかに同調して心地よい | 同じ方向の酸味が合わさり、明るく爽快な印象が強調される |
レモンマリネ × シャルドネ(樽あり) | ワインの厚みで酸が包まれる | 樽のコクが酸をまろやかにし、食材との一体感が生まれる |
酢の物 × リースリング | 酸が響きすぎてシャープすぎる | 酸×酸で攻撃的な印象になることも。食材の量と温度が鍵になる |
酢の物 × メルロー | ワインが負ける・味がぼやける | 酸に弱い赤では全体が曖昧になり、違和感が残る |
✅ 「料理の酸」が強いときは、ワインも一定の酸味を持っていることが重要。
酸の「バランス」こそがペアリング成功の鍵。
果実味で酸を包む、または厚みで酸を和らげるアプローチが有効です。
🍳 レシピ例:鶏むね肉の塩レモンマリネ
材料(2人分)
- 鶏むね肉:1枚(200g前後)
- レモン果汁:大さじ2
- 塩:ひとつまみ
- オリーブオイル:小さじ1(なくてもOK)
作り方
- 鶏むね肉を酒または水で軽く茹でて粗熱をとる。
- 薄くスライスし、レモン果汁・塩・オイルで和える。
- 10分ほど置いて馴染ませたら完成。
📝 酸味がワインにどう影響するかを明確に知るために、香味野菜などの複雑な風味は加えません。
🔁 応用ワーク(2週間の活用)
ワイン | 応用料理例 |
---|---|
リースリング | セビーチェ、マリネサラダ、ポン酢がけ豆腐 |
シャルドネ(樽) | 鶏のクリーム煮、バターソテーした白身魚、レモン風味のパスタ |
メルロー | 酸味の少ない煮込み(ボロネーゼなど)、和風ハンバーグ、照り焼き(甘辛寄り) |
🗝 「酸が強い料理には、酸のあるワインを合わせる」──これはペアリングの大原則の一つ。
甘さ・厚み・ミネラルなど、酸を補完する要素をもつワインが活躍します。
✍️ 記録シート(巻末)
- 酸味がワインにどんな影響を与えたか?
- 酸×酸の組み合わせはどうだったか?
- 酸味を丸めたワイン(樽熟など)はどう感じたか?
- 赤ワインと酸味料理の相性に違和感はあったか?
🔜 次回予告:4月|脂とワインのバランス
4月は「脂とワインのバランス」がテーマ。
バターやラード、揚げ物など「油脂」が料理の味にどう関与し、ワインとの間にどんな変化をもたらすかを探ります。
ワインが"口の中の油を流す"役割をするのか、それとも包み込むのか──
重さ・キレ・酸の関係が体感できる回です。お楽しみに。